共創のまちぐらし

2022.11.29
共創のまちぐらし
第3回 函館西部まちぐらし共創サロンを開催しました

令和4年11月18日(金)に元町公園内旧北海道庁函館支庁庁舎2階において、地域住民等38名の参加のもと、函館市西部地区再整備事業基本方針に定める「共創のまちぐらし推進プロジェクト」の一環として、「函館西部まちぐらし共創サロン」を開催しました。(開催のお知らせはこちら)

開催趣旨

「西部地区における共創のまち育て」をコンセプトに、地域住民をはじめ、市民やまちづくりに関わる参加者が西部地区の未来を考え共有し、語り合い、アイデアをカタチにする新たな取り組みとして「函館西部まちぐらし共創サロン」を開催いたします。
さらに参加者一人ひとりの意見やアイデアを尊重し、今後立ち上がっていくプロジェクトを主体的に運営してもらうことを目指します。
今回は西部地区の町会の取り組みをテーマに開催いたしました。

共創サロンの様子

進行

有限会社オフィス・K 代表取締役 藤本恭子(函館西部地区ニュース取材配信担当)

(冒頭あいさつ概要)
今、町会はどのようなことをして、どのような役割を担っているのか。町会は様々な取り組みを行っているが、昨今なかなか知る機会がなくなっている。本日は西部地区の町会関係者も多く参加している中、町会がどのような活動をしているのかを青柳町会さんと弥生町会さんに話題提供いただき、その後、意見交換できればと考えている。

室蘭工業大学でやりたいこと

七飯高校3年 野田龍生

【話題提供】
会合に先立って、第2回共創サロンにも参加し、将来、建築士を目指してる七飯高校・野田龍生氏から下記報告があった。
・私は、道南地区の中心である函館の西部地区の空き家、特に古民家のリノベーションを通して街を活気づけられる建築士を目指している。
・高校の授業で函館の人口減少問題について調べた際に、函館西部地区を中心に管理不全の空き家が多く存在していることを知った。
・このまま放置されてしまうと、建物が劣化し、倒壊しやすくなってしまうだけでなく、建物との距離が近い場所では人が住む民家までもが巻き込まれる危険性も指摘されている。また、函館西部地区は観光客が多く集まる場所でもあり、街並みの景観の悪化は観光や経済面にまで影響する問題となっている。
・その解決策を見つけるために、函館西部地区の設計事務所を訪問した。今回は建築家として新築やリノベーション物件を手がけている富樫雅行さんにお話を伺った。 「古民家の再生は、雰囲気の保全を優先すると、補強や快適な生活空間を損なってしまう。外観と内部の住環境を調和させることが難しいということと、再生した古民家を利用してイベントをすることで街を活気づけられる」というお話を聞くことができた。
・また、第2回の共創サロンにも参加した。そこでは、函館出身の多くの方が地方から函館にいつかは帰りたいと思っていることが分かった。よって、函館に帰ってこられるような街づくりが大切だと分かった。
・昔ながらの雰囲気を残しつつ、古民家や空き家に耐震補強を施したり、生活や商売がしやすくなるよう修理や改築を施すことが必要だということも分かった。また、さまざまなニーズを持つ人々、特に移住を希望する方々を呼び込み、住まいを提供することができれば、この地域で安心安全な暮らしができ、さらにはより賑わいと活気を取り戻すことにつなげられるのではないかと感じた。
・その課題解決のために、室蘭工業大学で学び、研究していきたい。具体的には、古民家特有の解決すべき問題点の分析である。現代の建築基準並みの住環境はもちろん、誰でも使いやすいバリアフリー化の実現や断熱の工夫、コンパクトで強靭な耐震補強を可能にする改良を目指すことが必要だ。
・外壁や内壁を居住空間を犠牲にしない程度に撤去・保存を両立しながら、効果的なダンパー等の制震部材が設置できるかという点や、より強くかつ省スペースで実現できるような新素材の導入、さらには、航空宇宙事業などに使われる新素材の活用も試してみたいと考えている。また、室蘭市は、旧市街地に空き家が多く存在していて、蘭東地区が賑わっているという点が函館と似ている点であるため、空き家の実地調査をしてさらに空き家の知識を深めたい。
・将来は、耐震技術の研究をしている企業に就職し、そこで実践的な経験を得た後、函館を含めた各地の古民家や空き家のリノベーションに携わりたい。

西部地区再整備事業について

函館市西部まちぐらしデザイン室 次長 溝江隆紀

【説明内容】
函館市西部地区再整備事業について
・「函館市西部地区再整備事業基本方針における将来像と基本理念、重点プロジェクト等」
・「函館西部まちぐらし共創サロン開催の経過、活動内容・運営体制、期待する効果等)
西小・中学校跡地およびともえ団地跡地の利活用に関するサウンディング型市場調査
※(参考:市ウェブサイト

※説明資料「西部地区再整備事業について」はこちら

(株)はこだて西部まちづくRe-Design 会社概要・事業概要について

株式会社はこだて西部まちづくRe-Design 代表取締役 北山拓

【説明内容】
会社概要等
・「会社概要、ビジョン・ミッション、事業概要など」
・具体的な取組(旧北海道庁函館支庁庁舎、大町・旧加藤家住宅、大町改良ひろば、アーティストインレジデンス事業、函館西部地区ニュースの配信)

※説明資料「西部地区再整備事業について」はこちら
※参考資料「ウェブサイト等での情報発信」はこちら

青柳町会の取り組み

青柳町会 会長 蒲生寛之

【話題提供】
青柳町会の取組み-時代に合った取組への変化-
・町会活動への参加、町会長になった経緯
・より暮らしやすい町を目指して(町会活動は本当に本当に必要なのか「目的の逆転」※町会を無くそうという意味ではない、義務感からの解放「ボランティア」、楽しむことを忘れずに「続けるコツ」)
・町会の認可地縁団体への法人化(会長が変わるたびに発生する所有権移転登記費用の削減)
・貸館の利用促進(無印良品移動販売、キッズバザール、七夕、コンサート、今後の予定ほか)
・LIFULL HOME’S総研より、昨年発表された調査レポート「地方創生のファクターX 寛容と幸福の地方論」では、地域の「寛容性」と地域からの人口流出意向等の間に密接な関係があることが分かり、地域の「寛容性」がこれまでの地方創生政策が見落としていたファクターであるという結論に共感した。
・誰でも無理なく続けられる町会活動の仕組みへ、今後も町会活動を通じて、豊かな暮らしを皆と築いていきたい。 など

弥生町会の取り組み

弥生町会 副会長 熊谷光昭

【話題提供】
弥生町会の取組み
・町会活動に参加するようになった経緯
・新体制での弥生町会改善の取り組み(会則の改定、役員報酬の改定、班編成、班長問題ほか)
・町民が集まれる町会にするには(Instagram発信、回覧板の工夫、SDGsの取り組み、茶話会の開催、講座開催、納涼祭開催、清掃活動、敬老会、今後の予定など)
・町内会への加入メリット(交流、防災・防犯活動、災害時の助け合いなど)
・町内会には魅力やメリットがないと思われがちであるが、住民同士で助け合い、住みやすい町にするために必要な組織である。これからも魅力ある西部地区にするために、いろいろなイベントを企画し、たくさんの人が集う弥生町会として盛り上げていきたいと思う。

(参考:弥生町街角アンケート、どうしたら西部地区に移住していただけるか)
〇ファミリー層をターゲットに大きな公園や遊具など利用できる施設が増えたら良い
〇西部地区が移住者を受入れたいと考えていても、西部地区の受入れ体制がそこまで整っていないので、そのねじれが解決するといい
〇西部地区に限定するなら地主が土地を手放して分譲すること
〇子育て世代に向けた市営や道営住宅があれば子供が増えるのでは
〇世代によって優先する要素が違う など
※弥生町制作・弥生町の取り組み動画の視聴あり

参加者との意見交換

意見交換では、3名の方々から以下の意見が寄せられました。(抜粋)

  • (西高教諭)
    西高校で探究活動を軸にした授業があり、まちの課題を解決したいというチームがあり、その仕組みを学校内で作っている段階である。学校の先生の管理ではなく、地域・まちの人と生徒で何かしら取り組める仕組みができればと考える。
  • (市・溝江次長)
    この共創サロンの趣旨に合致するので、共創サロンの場を通じて取り組むのも一つの方法である。 具体的には今後相談させていただきたい。
  • (地域住民)
    ・仕事等の都合で今引き受けることは出来ないが、地元町会から会長の打診を受けており、今後の町会運営のあり方等について考えたい。
    ・地元漁師や農家、その他生産者などが各所に出向き、魚介類や取れたての野菜・加工品などを販売するマルシェを開催しており、現在、西部地区以外で主に開催しているが、西部地区内でも当該取り組みを通じた地域交流事業を行っていきたい。
    ・とりわけ、町会の横のつながりある機会を何とか作っていただきたい。
  • (弥生町会長)
    ・横のつながりに関しては、12月11日に7町会の合同会議が開催される。つながる機会は多々ある。代替わりで会長になるならないにあたっては、町会活動は一人ではできない、どんな仲間でどんなチームでやるのか。4番バッターだけではない色々なメンバーで活動していかなければならない。メンバー集めは準備した方が良い。
    ・理学療養士の観点から、ノーマライゼーションという言葉を紹介したい。地域を考えた場合、そこには色んな人がいて、男性もいれば女性もいる、町会活動する人もいれば、町会活動に否定的な人もいるなど、様々な要素を含めて地域が成り立っている。
    ・更に地域包括ケアシステム、キーワードは団塊の世代、75歳・2025年問題であり、75歳は後期高齢者に分類され、介護が必要という状況である。これを乗り越えて行こうというのが地域包括ケアシステムで、地域・町ぐるみで高齢者を助けていくということ。この根本的な活動は、おそらく町会活動(隣のおばあちゃん元気かなどの声がけも)だと考える。
  • (町会役員)
    ・町会活動は町会費の集金はじめ、街路灯維持や清掃活など様々な仕事がある。
    ・中でも町会費を集めるのが一苦労であり、地域住民が全員公平に町会費を集めるシステムとして、市が何らかの税金で徴収し、各町会に分配できないものかと考えている。 など

今後もいただいた意見等を踏まえ、このような機会を引き続き設けながら、本サロンの運営をはじめ、西部地区にいて様々な「まちぐらし事業」や「まちを学ぶ場の提供」などの取り組みを進めていきます。まちづくり・まちぐらしに関する取り組みは、地域の共感を得て進めることが非常に大事だと考え、より多くの市民・団体の皆さんに西部地区のまちぐらし事業を知っていただけるよう、取り組みの可視化・見える化にも努めていきます。
なお、「函館西部地区ニュース(11月26日)」では、本サロンの開催の様子を配信中です。
次回、「第4回函館西部まちぐらし共創サロン」は、岩手県紫波町企画総務部企画課・課長の鎌田千市氏をゲストに迎え、「公民連携」をテーマとした内容で開催を予定しております。

主催

函館市、株式会社 はこだて西部まちづくRe-Design

協力

函館市西部地域振興協議会

お問い合わせ

函館市西部まちぐらしデザイン室(函館市都市建設部まちづくり景観課)
TEL:0138-21-3357