西部地区の暮らし

2021.08.17
西部地区の暮らし
西部地区で取り戻した〝自分で暮らしを作る実感〟

フリーランスライター 阿部 光平

20年暮らしてきた東京を離れ、故郷の函館へ帰ることにした。住む場所は、西部地区と決めていた。


実家が湯の川方面だった僕にとって、西部地区はほとんど接点のないエリアだった。なんとなく観光地というイメージはあったものの特に興味はなく、そんなことよりも早く都会に出たいと思っていた。


そんな僕が西部地区に興味を持つようになったきっかけは、2015年に『IN&OUT -ハコダテとヒト-』というWEBメディアを立ち上げたことだった。これは「内側と外側の視点から函館のことを考える」をコンセプトにしたメディアで、「地元を離れて暮らす函館出身者」と「別の地域から函館に移住(或いはUターン)してきた人」という2つのカテゴリーのインタビュー記事を発信してきた。その取材で西部地区に暮らしている方々のお話を伺う機会が何度かあり、だんだんと観光地とは別の一面が見えるようになってきたのだ。


日常と隣接している豊かな自然、積み重ねてきた歴史の上に生きてることが実感できる旧市街ならではの景観、そこに意思を持って住んでいる人たちや個性的なお店。都会での消費的な暮らしに楽しさを見出せなくなっていた自分にとって、西部地区は自主的な暮らしの喜びを取り戻せそうなフィールドに思えた。


実際にUターンをしてみて、仕事でも遊びの場面でも、誰かが用意してくれたものを消費するのではなく、自分たちでゼロから積み上げていく楽しさが増えたなと感じている。これからも西部地区を拠点に、自分たちが楽しいと思える暮らしを作っていきたい。

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IN&OUT ハコダテとヒト