西部地区のまちぐらし

2021.08.25
西部地区のまちぐらし
海と坂と、見えない何か

函館「荘」プロジェクト 代表 下沢 杏奈

西部地区で3件の「荘」という名前の学生シェアハウスを運営している。この町に暮らすことの醍醐味は、帰り道。私がまだ自転車で西部地区を駆け巡っていた頃の話。行きは急すぎて、息切れするのに、帰りはまるで風になったように、タイヤが回る青柳電停から谷地頭電停の間の坂。道端に書いてあるケンケンパ。ちょっとナイーブな時に全てを流してくれる海。おはようと声をかけてくれる商店街。絶対に函館を嫌いにさせてくれない巴大橋からの景色。学校の周辺だけでは感じられなかった、心の暖かさ。見えない何かがここにはある。語れない何かがここで感じている。20歳の時、函館なんてと、嫌っていた。たまにこの町なんてと思ってしまうことがある。でも、だけど、どうしても、嫌うことができない。好きだなんて言葉も簡単には言えない。じゃあ、なんでこの町にいるんだろう。それは謎である。だけど私の友達に、その友達の友達に暮らして欲しい、感じて欲しい。海と坂と、見えない何かを。

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函館「荘 」プロジェクト